ゴスペルはもともと聖書の内容をもとにしているので、歌詞は比較的わかりやすい英語で書かれています。
とは言っても日本人にとって聖書はなじみがないものですし、宗教用語以外にもゴスペルでは特殊な意味に変わる単語もあります。
ここでは覚えると便利な英単語と英詩に触れる上で便利な知識を紹介していきたいと思います。
まだまだ内容が充実していませんがご覧いただければ幸いです。
(レッスンで触れた項目を中心に掲載しています。一般的なゴスペル関連単語を掲載しているわけではありませんのでご了承ください。)
まず最初は、ゴスペルにはつきものだけど、当たり前に出てくるために逆に意味を聞きづらいこの単語から始めます。
曲の一ジャンルとして扱われているこのgospelですが、辞書をひくと「福音、キリスト教の教え」と出てきて、
音楽という意味は出てきません。また音楽とは関係ない所では、マタイ、ルカ、マルコによる福音書の三つを総称して
synoptic gospels (共観福音書)と呼びます。
これが、どうして音楽の事を指すようになったかというと、つらい生活を送る人々(主に黒人)が日々の生活の糧としていたのが教会であり、心のよりどころと
していた聖書からヒントを得た詩に音楽をつけたものがしだいに元の意味から離れていったためです。
始まりが聖書の一節や聖書から膨らましていったフレーズですが、最近のゴスペルソングでは神様やイエス様への愛を歌っていても、人称代名詞で
YouやHeを使っていて、聞いただけでは一般的なラブソングと
区別がつかない物も多くなっています。
英語を習いはじめた時に覚える単語のひとつですが、文頭以外でYouとHeの
ように大文字表記になっている時は「神様」または「イエス様」のことを指します。
同様の使い方をする単語としてLord、Everlasting等があります。
このような表記をする背景には、モーセの十戒で『神の名をみだりに唱えてはならない』という規定があるという点と、英語では同じ意味の言葉でもできる限り別の
単語を使用して表現するという傾向があるためというところがあります。
(完全に話がそれますが、敬虔なクリスチャンは十戒の規定に基づき、‘Oh my god’と言わずに
GoodnessまたはGoshという単語を使います…脱線失礼しました)
もちろんこれは一般的な話で、曲の中では高揚感を狙うために同じ単語が繰り返し出ることも少なくありません。
こんな単語見たことがないと言うご意見もありそうですが、これはyouの古語で二人称単数形の主格にあたります。
所有格はthy、目的格はtheeになります。
thyを使った有名な言葉としては、“Frailty, thy name is woman.”
(ハムレット:第一幕第二場)があります。
二人称単数形と記載したのでお分かりでしょうが、古語では二人称の複数形というものもちゃんと存在します。こちらは主格がGod
said love ye one anotherで登場したye、所有格,目的格はそれぞれyou、
yeと変化します。
youが古語になっただけだというのに、訳が「汝」というお固い言葉になる事が多いのは、何でも難しく言いたがる日本語の宿命でしょうか?
‘use me for thy service’をこの調子で訳すと「我を汝の僕(しもべ)として使いたまえ」となり、かなりヒキますね。
この単語はJesus appears to his disciples (マタイによる福音書:28章16節−20節)のように新約聖書で見かける
言葉で弟子、使徒を意味します。
また、the twelve apostle あるいはthe twelve discipleというとキリストの
12使徒を指します。
(発音はそれぞれアポスルとディサイプルとなります。綴りどおりの発音ではないので注意しましょう)
12使徒の名前が出たので参考として英語の使徒名を記載しますと、ペテロと呼ばれるシモンはSimon, called Peter、
アンデレはAndrew、ゼベダイの子ヤコブはJames, the son of Zebedee、
ヨハネはJohn 、ピリポはPhilip、バルトロメオは
Bartholomew、トマはThomas、マタイはMatthew、
アルファエの子ヤコブはJames, the son of Alphaeus、タダイはThaddaeus、
熱心党のシモンはSimon, the patriot イスカリオテのユダはJudas Iscariotとなります。
聖書の日本語表記と英語表記で全く音が異なるのは、英語の場合は、アルファベット表記をもとに英語の発音規則に合わせて音を当てていくためです。
こちらも英語の授業ではまず出てこない単語ですが、宗教上では大きな意味を持つ単語で動詞では「油を注ぐ、聖別する」、名詞では「聖別された者、主によって
選ばれた王、イエス様」という意味になります。
補足すると、イスラエルの王は神の加護を受けた存在であり、その証として油を注がれます。
旧約聖書でも、神により王となったサウルが神をないがしろにするようになると、神の心はサウルから離れ、神の託宣を受けた預言者の手によって次の王となるダビデに
油が注がれたというエピソードがあります。
イエス様は実際に王位についたわけではありませんが、主によって聖別された存在ということでこの単語の意味に含まれます。
また、新約聖書中のJesus anointed at Bethany (マタイによる福音書:26章6節−13節)は、イスカリオテのユダが
イエス様を裏切るきっかけという事で有名なエピソードです。
余談ですが、歌手の綾戸智恵さんが主催するクワイァAnointed Mass Choirはこのanoint
から名前をつけています。
Oh Happy Day等で繰り返し登場するwashは動詞で「洗う、清める」、
名詞で「洗うこと」という意味ですが、youと同じくこれもゴスペル内では同意語が多い単語です。
ただし、各語はそれぞれ微妙に意味が異なり、washは(水などの液体を使って)洗う、cleanse
は(洗剤などを使って)汚れを落とす、purgeは(身体、心を)清める、cleanは
清潔にする、(結果として)きれいになるとなります。
(洗うからは少し外れますが、洗礼を授けることはbaptizeと言い、 新約聖書に出てくる洗礼者ヨハネは
John the Baptestになります。)
washはwash one's sins (away)や
wash one white as snowのように決まった言い回しで使うことが多いです。
Total Praise等で登場するこの単語は、動詞で「賞賛する、賛美する」、名詞で「賛美」を意味します。
ゴスペルソングの起源である神様への賞賛のためか、良く出てくる単語のひとつで、聖書中でもThe Lamb who was killed is
worthy to receive power, wealth, wisdom, and strength, honor, glory, and praise(ヨハネの黙示録第5章12節)とイェス様への賛美の言葉として登場します。
この単語にもblessという同意語があり、どちらもよく使われますが、blessには、
「誉め讃える」という意味の他に、「祝福を受ける、祝福される」という意味があります。
praiseで良く使う言い回しとしては、praise to You や
praise his holy nameといったものがあります。
この単語は名詞もありますが、ほとんどの場合、動詞として使用します。
通常は所有する、(会合などを)開くという意味で使用しますが、ゴスペルで登場する場合は後ろにmeをつけて(私を)
抱き締めてくださいという意味や、後ろにonをつけて(困難に)耐えるという意味で使用することが多くなります。
hold meという表現は、ゴスペルだけではなくラブソングでもよく登場する表現ですので覚えて損はないでしょう。
通常は、commit a suicide(自殺する)、commit a crime
(罪を犯す)のように過ちを犯すという意味で使われますが、ゴスペルで出る場合は委ねるという意味になります。
この単語は、最後の母音のiが短母音のため、過去形になる時はcomittedのようにtが重なります。
ここまで出たものは、動詞、名詞が同一形の単語が中心でしたが、この単語は名詞形は語尾が変化してcomission
となります。(もうひとつ、comitmentという名詞もありますが、使用頻度は
comissionの方が高くなります)
完全に話がそれますが、Kirk FranklinのMy Desireでアドリブソロを歌う
Fred Hammondが以前所属していたグループはcomissionedと
いう名前です。
このグループはBoys II Men やTake6が好きな人なら馴染みやすいスムースな
ゴスペルを聞かせますので、興味がある人は曲を聞いてみてください。
glory of the Lordやglory Hallelujah といった言い回しが多いことからわかる
ように、この単語はゴスペル内では宗教的な意味以外で使われることはまずありません。
意味としては名詞で(神様の)栄光、賞賛、動詞で喜ぶといった意味で使われることがほとんどですが、多くの場合は名詞として登場します。
ちなみに、形容詞形のgloriousもゴスペルではよく登場する単語です。
なお、gloryの派生語のGloriaは栄光の讃歌という意味ですが、ラテン語
起源のせいか、ラテン語系の言語を使う国々では女性の名前にも使われます。
Witness Heaven という言い回しで天も照覧あれという意味になるので宗教色が強そうなイメージがありますが、
この単語自体は日常的によく使われます。
名詞では証拠・証人、動詞では目撃する・証言するという意味になり、make a witness で証拠になる、証とする
という内容になります。
このwitnessを使った言い回しで、R&BユニットK-ci&JoJoのK-ciが
よく"Can I get a witness"というフレーズがありますが、これもゴスペルでは良く使われますので覚えておいて
損はないでしょう。
英語を習いはじめた頃から当たり前のように出ている単語ですが、実は「立つ」だけではなく、多くの意味を持っています。
とはいってもゴスペルで出てくる意味は主に2種類程度になるのでご安心ください。
一つは(困難、苦難に)耐えるという意味で、多くは前に人称代名詞+canをつけた形(例:I can stand)での登場です。
この意味の似たような表現としてはhold onがあります。
(おまけ知識ですが、否定形のcan't stand〜は〜にガマンができないと言う意味で良く使われます。完全に脱線すると、
海外のホテルでタバコ臭い部屋に通された管理人はフロントにI can't stand that smell!と文句を言って部屋を変えて
もらったことがあります。)
もう一つは、支持する、賛成するという意味で、stand for やtake a stand
という形で使われることが多いです。
正確に言えば、この二つ目の意味は〜の側に立つという所から派生したので、立つから転じた意味になります。
形容詞のstrong(強い)から変化した単語で「強さ」という意味になります。
意味からは少し離れますが、名詞→形容詞の変化のしかたにはいくつは法則があります。多い例をいくつか挙げますと、名詞の語尾に
fulと付いて形容詞となるタイプ(例:power(力)→powerful(力強い))、
名詞の語尾にyが付いて形容詞となるタイプ(例:might(圧倒的な力)→mighty
(他者を圧倒する))、そして今回のstrengthのように語形全体が変型するタイプでこれは他にも
high(高い)→height(高さ)のようにその時々で変化する形が違います。
また、動詞形についても、powerは動詞・名詞同一形ですが、strengthは
語尾にenが付いてstrengtenとなります。(ちなみに。
mightは動詞がありません)
上記例で挙げた単語はheight以外は力を表す単語になりますが、strengthは「(広い意味に
わたっての)力」を指し、mightは「(神様の力など)他者を圧倒する外部に向かう力」、power
はmightとは対照的に「内部にある力」を意味します。
とは言っても、一曲の中でこれらの単語が同じ意味で使われることも多いので参考程度にしてください。
英語の助動詞というと、学生時代に意味の違いが良くわからずに苦労した記憶のある方も多いでしょうが、ゴスペルで出てくる
shallの意味は限られていますのでご安心ください。
Hallelujah内でHe shall reignと出てきますが、これはこの世は(神の名の元に)
イェス様によって統治されるであろうという意味になり、shallが付くことによって、「(神の名のもとに)必ずやそうなる」という
意味が加わります。
ですのでマリア様の懐妊の預言についても、言い回しによってはA virgin shall conceive*注4)
という言葉が使われます。
その他の聖書中の表現としては、they shall rule on earth(ヨハネの黙示録第5章10節)と言うものがあります。
イエス様ののエルサレム入城の際に群集が叫んだ言葉Praise to David's son!(マタイによる福音書21章9節)の
日本語訳でダビデの子にホサナと出てきます。
英文を見るとどこにもhosannaの単語が出ていませんが、hosannaは
ヘブライ語で栄光あれという意味なので、訳文ではホサナという語をあてています。
日本人には泣きどころですが、この単語はヘブライ語ではホサナと発音して、英語読みではホザァナに近い発音になります。
(脱線するとボルドーワインで同じつづりででシャトーオサンナというものがあります。
名ワインとして名高いシャトーペトリュスのぶどう畑に近く、良質なワインを産するというワイン好きにはたまらない情報がありますので興味のある方は
お探しください。)
単語から外れて福音書の記述について説明すると、Davidはanointで触れたダビデ王のことです。
マタイによる福音書の記述によれば、イエス様はダビデから28代経た末裔であり、救世主はダビデの血筋から誕生するという信仰的な意味もあります。
Take me back内のI must confess, Lordのフレーズが有名な
この単語は、主に(神様の前に)自分の罪を告白するという意味になります。
聖書中でもThey confessed their sins,and baptized them in the Jordan(マタイによる福音書第3章6節)と
人々が洗礼者ヨハネの前で罪を告白して洗礼を受ける場面で登場します。
キリスト教で聖職者の前で自分の罪を告白して懺悔することもさします。
(なお、この告解の行為自体はconfessionという名詞形で表現します)
Kirk FranklinのHosannaで
every tangue shall confess Your nameと登場しますが、こちらでは信仰を持って唱えるといった意味になります。
ゴスペルであげると、Hail Holy Queen、古典文学でいくと"All Hail, Macbeth,
that shalt be king hereafter "(マクベス:第一幕第三場)といったところに出てくるように、少々古めかしいところがある言葉です。
欽定英訳聖書*注5 )の受胎告知の場面でも、Hail, thou that art highly favored, the Lord
is with thee: blessed art thou among women.(ルカによる福音書1章28節)*注6 )とマリア様を寿ぐ言葉として
出てきます。
意味としては、万歳、ようこそといったものになりますが、ゴスペルではまず万歳の意味で出てきます。
つづりを見るとハイルと言いたくなりますが、発音はヘイルですのでご注意ください。
名詞、形容詞同一形ですが主に形容詞形で使用されます。
Youで登場したeverlastingと同じく不滅の、不死のという意味ですが、名詞形の意味では
そこから転じて神様そのものを指すこともあります。
先頭につくim-はいくつかの用法がありますが、この単語では〜しないという意味で、同じ法則の単語としてはpossible
(可能な)→imposssible(不可能な)やpatient(辛抱強い)→
impatient(短気な、せっかちな)等があります。
immortalの反意語のmortal(滅びゆくもの、そこから転じて人間
そのもの)は新約聖書でwhat is mortal cannot posess immortality(コリントの信徒への手紙第15章50節)
と出るように永遠の存在との対比として出されることが多い単語です。
〜に向かってを意味する接頭語のadと祈るを意味するorの合成語なので、通常は崇拝する、尊敬するというやや堅い意味を持ちます。
Why We Singで登場するThe one whom we adoreは私達が祈りを
捧げるただ一人の方といった意味になります。
蛇足ですが、口語では同じ単語がもっと柔らかい表現に変わり、大好きという意味になります。
Nat King ColeのLove(数年前にOAされていた某コーヒーの ♪いつも側にいてねっ の元歌)の
中で出るany one that you adore canのフレーズは口語表現そのもので、「君が誰よりも好きな人」という意味です。
Why We Singの前後の歌詞を踏まえると、好きという意味を切り捨てたくなかったので、別ページの
訳詞
では先程のフレーズを敬愛するという単語で表現させていただきました。
Hallelujahに登場する単語です。
全てのという接頭語のomniと可能なという意味を持つpotentの合成語で
全能のと言う意味になります。
(脱線すると映画等で同じテーマで何本かの短編をまとめたオムニバスも接頭語omniに
busがついた合成語です。
ちなみにオムニバスの元の意味はバスではなくて乗り合い馬車です。)
基本的には形容詞ですが、定冠詞のtheを付けると全能の神という名詞になります。
同意語としてはalmightyがあり、almightyも
theをつけると全能の神という名詞になります。
Hallelujahに登場するのに訳語を見るとハレルヤとしか書かれていないので日本語訳には困る単語の一つです。
語尾のjahはヘブライ語のJehovah(旧約聖書に登場する全能の神)の短縮形
で、halleluはヘブライ語の讃えるの命令形なので全体では主を讃えよとなります。
ヨハネの黙示録第19章6節の日本語訳とKJV*注5)ではハレルヤ(KJVでは
Alleluia)と出てきますがTEVでは同じ箇所が
Praise Godとなっています。
CM情報でWhat A Friend We Have In Jesusが登場したのに合わせてその中の
単語を取り上げました。
これまで取り上げてきた単語はポジティブな意味の単語が中心でしたが、この単語は動詞としては失う、罰を受ける、名詞では没収、罰金といった意味になります。
単語としてはネガティブな意味ですが、多くの場合は失われた物を神様により取り戻すといった内容で使用されています。
My Life, My Love, My SoulでI surrender to youと登場しますがこの単語は
(全面的に)相手を受け入れるという意味を持ちます。
解説を加えますと、受け入れる以前は抵抗をしていたが現在は無抵抗に相手を受け入れるといった意味を持ちます。
なお、この単語は解説の内容から降伏、降参という意味もあり、日常的にはこちらの内容で使われる事の方が多いです。
He Reignsでawesome Godと登場しますがこの
awesome Godで偉大なる神、すばらしき主という一つの言い回しになっています。
単語としての解説をしますと畏敬、畏怖と言う意味を持つaweという名詞に〜を生じる、〜を生み出すという意味を持つ接尾語の
someの合成により成立した単語で意味としては「大いなる、偉大な、すばらしい」となります。
という成り立ちを説明すると比較的最近できた単語のように感じるかと思いますが、旧約聖書でもThe great, the mighty and
the awesome God(申命記第10章17節)といった形でこれ以外にも何ケ所かに登場しています。
(余談ですが、このawesome Godという名前の曲もあり、比較的最近多くのアーティストに取りあげられているようです)
He Reigns以外にHallelujahでも
He shall reignという形で登場するこの単語は動詞で君臨する、統治する、支配する、名詞で統治、支配を意味します。
動詞・名詞同型ですが、曲中で登場するのは多くの場合が動詞です。
上のawesome Godと同じようにHe reinsで一つの決まった言い回しになり、
(主が我らの上に)君臨する、神の御代が続くといった意味になります。
君臨繋がりで脱線しますと世界史で登場するマグナ・カルタの「王は君臨すれども統治せず」は英語でsovereign reigns,
but does not ruleとなります。
一般的には祝日、宴会、ごちそうという意味ですが、宗教的な意味としては聖なる宴という意味になります。
ヨハネの黙示録第19章17節ではGod's great feastが最後の審判の後、新しく甦ったエルサレムを祝う神の大宴会として使われています。
Deep Riverの中で登場するgospel feastも故郷に帰ったお祝いを復活したエルサレムを
祝う宴にかけている表現になります。
茨の冠という言葉を聞いたことはあってもどのような場面で登場したかを良く知らない人もいるかもしれません。
KJV*注5)でAnd the soldiers platted a crown of thorn(ヨハネによる福音書第19章2節)
と出ているように、イェス様が十字架刑に処せられる前に茨の冠をかぶせられたことから来ています。
(ちなみにTEVでは同じ箇所がThe soldiers made a crown out of thorny branches 〜(以下略)となっています。)
このことからこの熟語は苦難の象徴を示しています。
Kirk FranklinのHosannaで登場するslainの原形です。
詩としての英語が美しいのがKJV注5)であるせいか、聖書の一説をモチーフにしている曲では
古英語の単語が登場することが少なくありません。
(ちなみにHosannaの歌詞はは黙示録の第5章12節の『屠られた小羊は、力、富、知恵、威力、
誉れ、栄光、そして賛美を受けるに相応しい方です』からです。)
このslayはkillの古語に当たり、
TEVではkillと記載されています。
通常はThe ramb that was slain for my sinsで一つの慣用句になるので過去分詞形で登場します。
今回は曲中の表現ではなく、掲示板注7)で登場した話題から取り上げました。
これまでに取り上げた単語でも何度か触れていますが、ゴスペルではTotal Praise内の
mine eyes注8)のように、現代の曲であっても
古英語が使われていることが少なくありません。
今回登場するmine+名詞の形も古英語になり、名詞の語頭が母音、もしくはhで始まる
場合にはmyではなく、mineとなります。
補足としては、古英語では、母音が連続することを嫌ってmyの後ろに母音が来る場合、もしくは発音上母音で始まる事が少なくない
hが来る場合はmineになったようです。
動詞というところでおわかりでしょうが、熊のことではありません(笑)。
この単語はhold onやstandと同じような場面で使用され、苦痛、困難に耐えるという意味を持ちます。
細かい意味の違いとしては、hold onはある状態がずっと続くから転じて耐える、standは困難に負けない、
困難の中でも持ちこたえるという意味、bearは苦痛を担いそれに耐えるという意味になります。
なお、bearはゴスペル以外でも日常会話で頻繁に登場して、〜に影響する、子を生むといった意味はよく使用されます。
ルカによる福音書第2章11節でイエス様の誕生が "your Savior was born" と記載されているように、救い主、救世主を表します。
綴りが二種類ありますが、saviourは英国式の綴りとなります。綴りの違いはありますが、発音は同じです。
your Saviorやour Saviorの形で曲中に登場することが多いです。
聖書を読んだ人にはなじみ深い重要な人物の名前ですが、日本ではあまり馴染みがないので解説します。
このピラトという人物は、マタイによる福音書第27章に登場するローマの総督でイェス様に死刑判決を下した人物です。
当時のユダヤの地はローマ帝国の支配下にあり、ユダヤの王はいてもローマから派遣された総督により治められていました。そのため、ユダヤ人に対する判決を下す権限は
総督にありました。ピラトはイェス様を死刑にしないようはかろうとしましたが、神官をはじめとする民衆の圧力により、死刑を宣告しました。
なお、ラテン語系言語ではピラトと発音するのに英語ではパイレィトに近い音になるのは、第一音節にアクセントが来ていることと、第二音節が短母音ではないためです。
(正確には、もう少し細かく専門的な説明があるのですが、誰もそこまでの解説は求めていないでしょうから大ざっぱな解説で終了します。)
HallelujahやStanding Right In Front of Youで登場するように
"king of kings, lord of lords"とセットで使われることの多い慣用句です。
Lordが神様のことを指し示す単語なのでお分かりでしょうが、主の中の主、王の中の王とは神様と神の子である
イェス様の事を指します。また、この表現はヘブライ語の最上級に由来する表現でもあります。
最近、困った時の聖書頼みになっている気がしますが、この語句の出典はヨハネの黙示録の第19章16節に登場する白馬の騎手の衣と腿に記された文字です。
ちなみに、この慣用句自体は他にテモテへの手紙一の第6章15節にも登場しています。
ラテン語のtemplum(神に捧げられた宮殿)を語源に持つとおり、神殿、寺院を意味します。
聖書中でも黙示録で神の都にある神殿を示すように、この単語がゴスペルで登場する時は教会ではなく天国の神殿を指します。
語源としては切り取るを意味するtemに場所を意味するpleが組み合わさり、他から切り離された場所、転じて聖なる場所という意味を持つようになりました。
ちなみに日本のお寺はtempleですが、神社はshrineになります。
蛇足ですが、日本語での発音がキリスト教に関する某小説に登場した十字軍に関連する騎士団の名称と同じ音なので、関連があると思う人があるかもしれませんが、
あちらはTemplarで綴りが違います。
イェス様と縁の深い場所を意味する単語であるせいか、プロテスタント系の教会の名称として使われることも少なくない単語です。
KJV注5)のルカによる福音書第23章33節に出てくるこの単語は、イェス様が磔刑に処されたゴルゴタの丘の別名です。
なお、ゴルゴタはギリシャ語のGolgotha、Calvaryはラテン語の
Calvariaが語源のため、全く違う単語ですが、どちらも髑髏(されこうべ)を意味します。
mercy meやYour mercyの形で登場する事の多いこの単語は基本的には、
慈悲、憐れみ、幸運を意味します。
そのようなわけで、文頭で登場した例も「どうかお慈悲を」、「神様のお慈悲」といった訳になりますが、 Mercy!
になると「おやまあ」となります。そのため、 Mervin Gayeの Mercy Mercy Meは
「一体どうしたんだ」といった意味になります。
Amazing Graceに登場するこの単語は「驚くほどの」「大いなる」という意味を持ちます。
動詞のamazeが「驚く」という意味になるので、驚くの同義語を説明するとsurpriseは
「びっくりする」、 amazeは「(予想外の出来事、あるいは人知を超えたものごとに)驚く」、
astonishは「度肝を抜かれる」という意味になります。
本筋に戻って amazingの解説を続けますと、この単語も動詞の amazeと同じく人の力を
超えた事態に対する驚きを表す言葉です。
以前、MLBの試合中継の際、イチロー選手が確実にヒットになると思われた打球を好捕した場面で実況のアナウンサーが"Amazing!"と
叫んでいましたが、これなどは日本語で言うところの「神業」というニュアンスになります。
既に解説したつもりでいましたが、確認したらまだ掲載していなかったので慌てて加えました。
The Graceが三美神(ボッティチェリの『春』で輪になって踊っている三人の女神)を指すように、通常は
美を意味する単語ですが、ゴスペルで登場する場合には、神様の恩寵、神様のお恵みとなります。
なので、 Amazing Graceで「大いなる恵み」という意味です。
また、Youで文中のhisが大文字になると神様の意味になると記載しましたが、
graceは"his Grace"のように文中でhis
が小文字でGraceが大文字になって登場すると、公爵やカトリックの大司教に対する敬称になります。
英語以外のヨーロッパ系言語を習うと必ずと言っていいほど登場して学習者を悩ませる男性名詞や女性名詞ですが、絶滅の危機に瀕しているとはいえ、
ちゃんと(?)英語にも存在します。
そのため、数少ない女性名詞のうちの一つearthは、let earth recieve her Kingのように
herと表現されます。
もともと、古英語では、ゲルマン系言語のように男性名詞・女性名詞・中性名詞の三種類の名詞性がありましたが、中英語、現代英語へと時代を経て変貌をとげるうちに
名詞の性別がほとんど消滅しています。
ですが数は少ないながらも女性名詞が存在しているので、船がsheと表示される時などに表面化します。
蛇足ですが、英語で飛行機や車が女性名詞に例えられるのは、乗り手が男性中心だった名残です。
名詞で「勝利」、動詞で「勝利をおさめる」を意味しますが、曲中では名詞で出てくる頻度が高い単語です。
勝利というと漠然としていますが、ゴスペルに登場する場合の勝利とは、神様、イェス様の勝利のことを指します。
某下着メーカー名風に発音したくなりますが、残念ながら発音は英語式にトライアンフです。
記念すべき(?)50項目目は聖書に基づいた表現になります。
ヘブライ語で「神は我々と共におられる」という意味を持つこの名前、という流れでもうおわかりでしょうが、イェス様のことを示します。
マタイによる福音書第1章23節に先立ちイザヤ書第6章14節に登場するこの名前は、神様の祝福を意味するせいか、世界史に登場するイタリアを統一した王、エマニュエーレ2世を初め、ラテン語圏の国では人名としても用いられます。
In the Sanctuaryの歌詞では見出しのような綴りですが、Emmanuelと綴られる場合も少なくありません。
なお、どちらの綴りでも発音は同じになりまして、イマニュエルに近い音になります。
一般的にはbird sanctuary(鳥類保護地域)のように、保護区、禁猟地といった意味に使われますが、ゴスペルで登場する場合には、教会や聖域を表します。
もともとは、ラテン語のsanctum(聖なる場所)が語源なのですが、庇護を受けた地、(法の及ばぬ)隠れ処から転じて保護区といった意味を持つようになりました。
余談ですが、同じ語源を持つ言葉としてsanctus(「聖なるかな」で始まる賛美歌)があります。
掲載したつもりで忘れていたので改めて紹介します。
Hallelujahを含むヘンデルのオラトリオの題名でもありますが、救世主、救い主、転じてイェス様を表す言葉です。
ヘブライ語で「油を注がれた者」の意味を持つマシーアハを語源に持つので、savior以外にanointも同意語になります。
メシアと読みたくなりますが、最初の母音がエとウとアの中間の音なので、発音はムサイアに近くなります。
過去形の roseで出てくることの多い単語です。
一般的には上るという意味で使われますが、ゴスペルの歌詞で登場する場合は、 Jesus roseの形でイェス様が死者の中から蘇るという意味になります。
過去形の発音は同綴の別単語 rose(バラ)と同じく、二重母音でロゥズになります。
支配や統治を表す単語で、同じ意味を持つ powerを重ねて dominion and powerとすると、我々の支配者たる王という意味になります。
また、蛇足ですが、複数系のdominionsは、天使の階級の一つでもあります。
powerの複数系も天使の階級なので、完全に脱線して(と言っても、ゴスペルの歌詞に登場することがあるので完全な脱線ではないと主張しますが)解説しますと、天使の階級には seraphim、 cherubim、 thrones、 dominions、 virtues、 powers、 principalities、 archangel、 angelがあります。
なお、 seraphimと cherubimは複数系になります。単数系もありますが、歌詞で登場する時は基本的には複数系なので割愛させていただきます。
archangelと angelは見ての通り単数系ですが、単数系と複数系の違いはsの有無だけです。
ちなみに、 virtueという女性グループは今風な音に骨太なヴォーカルを乗せたゴスペルを歌っていますので、興味のある方はお探しください。
旧約聖書に登場する神様のことであり、全能の主を意味します。また、 God や Lordの言い換え表現でもあります。
旧約聖書では出て来ますが、新約聖書では不思議とこの表現が登場しないので、この単語を使う頻度は低いですが、ゴスペルでも出てくる表現になります。
日本語では、ヘブライ語の音読に近くエホバと読んでいますが、英語ではジホゥヴァに近い発音になります。
これは単語というより英詩に触れる上での参考知識になります。
洋楽の詞を口に出して読むと、前の行と次の行の終わりの単語の最後の音節の発音が同じになるものが多いことに気がつきます。
もちろんこれはゴスペルの曲にも共通して言えることで、 light of mine,
(中略) let it shine(This Little Light
of mineより引用)やlook at you, (中略)
alright with me, (中略) look at
you, (中略) it's gonna be
(Lovely Dayより引用)のように連続した二行、あるいは一行おきに行の最後の単語の最後の母音とその後に続く子音が
同じ音になります。
このように詩の行最後の単語の音が他の行の音と揃うことを脚韻といいます。
これはルネッサンス時代に生まれたソネット(14行詩)で二行ずつ脚韻を踏む形式が生み出されて以来、現在まで続いてきた様式で、これは文学的な詩だけでは
なく、ポップスの歌詞にも影響を与えています。
(このため、欧米では単語の最後から引ける逆引き辞典があり、詩を作る人に重宝されているという話です。またまた脱線失礼しました。)
もちろん韻を踏まない詩もあり、こちらはblank verse(無韻詩)と呼びますが、多くの曲では一部(特にリフ前)だけ
でも韻を踏みます。
歌詞がなかなか覚えられない人は、まず各行の最後の単語が他の行と韻を踏んでいないか確認してみませんか?
また単語から離れて参考知識になります。
フランス語ほどハッキリとはしていませんが、英語でも前後の単語が繋がり、前の単語の子音と後にくる単語の音が繋がることがあります。
これを音声学ではリエゾン(連結)と呼びます。(英語らしくない綴りですが、これはフランス語から入ってきた単語だからです)
通常の口語英語ではliaisonは一文で一ケ所出るか出ないかですが、ゴスペルでは音の高低・長短に左右されますので
口語文よりは頻繁に出てきます。
参考知識が続きますが、これもフランス語を引き合いに出しての説明です。
フランス語ほどハッキリとはしていませんが、英語も前後の単語の関係で後ろにくる単語の最初の子音、特に hの音が
発音されないことがあります。(例: bless hisが極端にいうとブレスヒズではなくブレスィズになる)
これを音声学では弱声化と呼びます。
ワンパターンな説明になってしまいますが、ゴスペルは歌詞を音とリズムにのせるため、通常の口語文より頻繁にliaison
や弱声化という現象が発生します。
ただし、会話で弱声化とliaisonを多発すると逆に聞き取りにくくなりますのでご注意ください。
今回も音声学の内容になります。
英語の子音には声帯を使って音を出す有声音と発音に声帯を使わない無声音があります。
有声音を発音する時に、咽の手前中央付近の声帯に手を当てると声帯が震えているのがわかります。
逆に正しい発音で無声音を出す時には声帯が震えません。
同じ音の有声音と無声音の組み合わせをいくつか掲載しますので参考としてください。
| 無声音 | t (例:to /tu;/) | f (例:few /fju;/) | p (例:pea /pi;/) | s (例:Sion /sai∂n/) | k (例:could /kud/) |
|---|---|---|---|---|---|
| 有声音 | d (例:do /du;/) | v (例:view /vju;/) | b (例:be /bi;/) | z (例:Zion /zai∂n/) | g (例:good /gud/) |
英語の鼻音はいくつかありますが、ここでは /m/だけを取り上げます。
日本語のムでは後ろに母音(ウ音)がつきますが、 /m/は口を閉じ歯茎の裏に舌を付けてハミングの要領で発音します。
この/m/音を始めとする鼻音を意識して発音するだけで英語らしく聞こえますので英語を話したい人は発音する時の口の形に気を配りましょう。
今回は完全に音声学的な内容になります。
一見後ろにtが付いただけのようですが、実はこの二つの単語はは完全に発音が違うものになります。
canは文頭以外で使われる場合はアの音をあまりハッキリ出さない日本語ではクンとカンの中間のような音で短く発音します。
(文頭の canは例外的に日本語にするとエとアの中間のような母音で発音されますので、日本語で表記するとキャンに近い発音になります。)
これに対して、 can'tは二重母音を長めに伸ばしてキャーントに近い音で発音します。
語尾の t音は後に続く単語によっては発音されたかされていないかくらいに軽くしか発音されないことも少なくありませんので、
my sou can seeでキャンと発音してしまうと can'tと言っているように聞こえてしまいます。
アの音が確認できないくらいに軽く発音すると英語らしく聞こえます。
譜面を見ていると to-talのように単語の途中でハイフンが入ることがあります。
このハイフンが入る箇所が単語内でも決まっていて、必ず音節と音節の間に入ります。
音節は母音単位となっていて、先程の totalであれば母音が二ケ所になるため二音節となり、 strengh
であれば綴りの文字数は多くても母音が一ケ所のみとなりますので
一音節となります。
なお、音節の切れ目は、 fa-vor、 com-mit、 kind-ness
のように主に子音一つなら子音の前、複数の子音が重なる場合な子音の間、接頭詞や接尾詞の前後となります。
辞書を引けば音節単位で記載されているので迷った時は辞書を引くことをお勧めします。
Rejoice Greatly, O Daughter of Zionをやった時に、 cometh untoの発音が
『♪亀さ〜ん〜』か『♪神さ〜ん〜』(笑)どっちが近いかという意見があったので、今更ですが掲載します。
comethは発音記号では /kΛmiθ/になりますが、短母音の
/i/はエに近い音で発音されることがあります。(例として、2006年夏頃OAされていたみんなのテニスのCMでテニスと発音しているのを聞くと『テネス』っぽく
聞こえます。)
そのせいか、発音記号的には『♪神さ〜ん〜』でも良さそうですが、実際には『♪亀さ〜ん〜』の方が原曲に近い発音になります。